「推拿」をご存知でしょうか。
推拿(すいな)と読みます。あまり聞きなれない、ちょっと難しい単語ですよね。
日本では、推拿の認知度は、まだあまり高くないかもしれません。
推拿は、漢方、鍼灸と並ぶ中国三大療法の1つで、日本では「中国式整体」と呼ばれているものです。
わかりやすくいえば、推拿は按摩(あんま)やマッサージ、整体などに近いものですが、より医療行為としての意味合いが強く、中国では病院の正式な診療科目にもなっています。
伝統的な手技に、西洋医学を取り入れた、薬や器具を使わない医療行為です。
しかし日本では、医療行為=西洋医学という認識が強いため、推拿は鍼灸や漢方などと同様に、民間療法として取り扱われています。
高価な医療器具や、大量の薬を処方しない、安全で効果のある医療行為なのですが、それゆえに日本では定着しづらいともいわれています。
人間の身体をトータルに考えた時、痛みなどの症状の出ている部位だけを見ていては、原因がわからないことがあります。
医療機関で診察を受けても「原因がわからない」「どこも悪くない」という診断を受け、とりあえず薬を処方されたという経験のある人も多いのではないでしょうか。
表れている症状の原因が、思わぬところにある場合もあります。
そのため、いくつもの病院で診察を受けることになり、場合によっては周囲から詐病扱いされ、辛い思いをしている方もいるのです。
例えば慢性的な肩こりでも、その原因はさまざまです。
肩こりに悩み、マッサージや鍼灸治療に通う人も多いですが、施術を受けてしばらくは症状が改善しても、またすぐに同じ肩こりの症状に悩むというケースが多いのです。
推拿療法では、患部そのものだけに対処するのではなく、人間の気の流れをコントロールすることにより、患者自身がもっている自然治癒力を高めます。
そのため肩こりや腰痛などの骨や筋肉の損傷だけでなく、神経系統の疾病や、消化器系疾病、冷え性や更年期障害など、婦人科系の症状にも効果があります。